「モスリン鼻笛ライブ!(後篇)」第146回サルシカ隊がいく

投稿日: 2012年04月17日(火)12:34


写真/加納 準 & 中谷兼敏  文/奥田裕久

三重テレビから津あけぼの座に戻ると、もう日が暮れはじめていた。
まもなく午後7時、開場の時間である。

鼻笛第九でもお会いした熱烈鼻笛ファンの方が数人、もうすでに会場に乗りこんでいたが、それ以外の一般のお客さんの姿はない。
おいおい大丈夫かと不安になる。

モスリンさんやフォトグラファー加納、ワタクシは急いで弁当を食べる。
他のみんなはすでに食べ終えてリラックスしていた。

7時10分をすぎて、ようやくチラホラとお客さんがやってくる。
「よかったよかった、知り合いだけ5名、以上!」
みたいな状況は免れたとホッとする。

今回用意した座席は限定50席。
さあ、どこまで埋まってくれるか。

ちなみに今回のライブは入場無料!
満足いただいた方に投げ銭をいただく仕組みだ。
まだまだ鼻笛という楽器を知らない人が多く、ひとりでも多くの人に鼻笛を楽しんでもらいたいという思いと、鼻笛って結構すごいんだからな、知ったらビックリしゃうからな、きっとどどんとお金を払いたくなるからな、という自信から、この投げ銭制にしたのである。

が、収益はこの投げ銭と鼻笛の販売マージンのみ!
がんばらねば赤字!
即、サルシカ負債過多、累積赤字増大、破壊的解散木端微塵なのだ(笑)。
そこでサルシカの代表であり、隊長であるワタクシは、鼻笛販売を管理する鼻笛協会会長のさとうさんや、投げ銭を管理する面々に、
「いいか、鼻笛を売って売って売りまくれ! 全部売り切るまで客席から帰ってくるな!!」
とか(笑)、
「いいか、投げ銭を出さん客にはとことんつきまとえ! ポケットに手を突っ込んででも金を払わせろ!!」
と言い放った(笑)。
もうまるで体育会系営業であり、守銭奴である(笑)。

さとうさんは受付。
ワタクシや油田さんは外で案内。

時間ぎりぎりになってどんどんお客さんがやってきた。
余裕をもたせていた通路にも座布団を敷いて席にしていく。

控え室のモスリンさんたち出演者は、お客さんの入りが気になるのか、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。
特に地熱エナジーズのみんなは暗幕のすそから客室を覗いて、

「おおおお、すごい入ってる!」
「満席や!」
「うわー、緊張してきた」

と、ヒソヒソ声で盛り上がっている。
モスリンさんはいつもの余裕の笑みを静かに浮かべて座っていた。

「すごいですよ、奥田さん、もう座席がないです」
油田さんが残り2枚ほどの座布団を会場に運びつつ振り返った。
会場を覗いてみると、満席。
熱気でムンムンしている。

「じゃ、そろそろ・・・」
ワタクシは油田さん、さとうさんといっしょに控え室へと急いだ。

開演の7時30分を5分ほど回ったところで、
日本鼻笛協会伊勢友の会、会長のさとうさん、
津あけぼの座を運営するNPO法人パフォーミングアーツネットワークみえ、代表理事の油田さん、
そしてサルシカ隊長のワタクシの3人が舞台に立った。

「鼻笛の魅力を存分に楽しんでください!」
というワタクシの簡単な主旨説明のあと、
油田さんによる諸注意。
いつもは携帯を電源から切れというのであるが、今回は音さえ切ればOK!
どんどん写真を撮って動画を撮ってTwitterやFacebookやYouTubeで配信し、鼻笛の魅力を広げてください、と(笑)。
最後にさとう会長から、
悲痛な投げ銭のお願いと(笑)、ライブに行われる鼻笛教室の案内。
そして前座をつとめる「地熱エナジーズ」の呼び出しとなった。

地熱エナジーズが2曲。
そして3曲目『スマイル』でモスリンさんの登場!
モスリンさんにステージを引き渡す。

モスリンさんのソロは松田聖子の『赤いスイートピー』から。
続いて『魔女の宅急便』から『やさしさに包まれたなら』、
そして宮崎アニメの『千と千尋の神隠し』より『いつも何度でも』、
『もののけ姫』のテーマ曲へ・・・。

モスリンさんが2週間練習したという『トルコ行進曲』では、その神業的な鼻笛の演奏に、会場が沸き返った。
拍手、歓声、鼻笛のライブとは思えない盛り上がりとなった。

続いて、ゲストの新田みかんさんが登場!
尺八と鼻笛による共演。

『ロンドンデリーの歌』
『デイドリームビリーバー』

まるでジャズのセッションのような、ソウルフルな展開。

会場は震えていた。
いっしょに鼻笛を吹くお客さんもいた。
光調卓に座る山中さんも鼻笛を吹いていた。
中に入れずにいたワタクシも油田さんも覗きこんで盛り上がった。
さとう会長も受付で踊っていた。
そして客席の写真師は踊りまくり、吹きまくっていた。
もうみんなが主役だった。

熱い1時間半だった。
あまりの熱気にエアコンも効かず、本当に熱かった(笑)。
そしてみんなの拍手に包まれて、ライブを終えた。

興奮したお客さんたちはなかなか帰らず、その場で鼻笛を買い求め、外でモスリンさんと共に吹いた。
そして残ったみなさんと鼻笛教室。

時間が許す限り、みんなでホーホーと鼻笛を吹いた。

午後10時。
最後に、みんなで『ふるさと』を合奏して2時間半の熱いイベントに幕を下ろした。

この日、みなさんからいただいた志は、5万8000円。
鼻笛も4万円を越える売り上げであった。
おかげで、モスリンさん、新田みかんさんにわずかながらお支払いをして、決して正規の金額に足りないが、津あけぼの座にもお支払いすることができた。

この場をお借りして、
来場いただいたみなさま、
モスリンさん、
新田みかんさん、
地熱エナジーズのみなさん、
さとうさん、
そして津あけぼの座のみなさんに感謝を申し上げる。

本当にありがとうございました!

伊賀の銭湯企画に続き、鼻笛ライブを成功させたサルシカ隊は、今後も興行師として(笑)暗躍する予定でございます。
次は「芝居だ!」などというオロカナ発言も飛び出しております。
コレに懲りず、次回からもお付き合いいただければと思っております~!!!

■関連リンク
・津あけぼの座・・・http://akebonoza.net/
・日本鼻笛協会伊勢友の会・・・http://hanabue.emix-express.com/
・モスリンさんのHP・・・http://mosurin.town-web.net/music/

・一部だけですが動画も!